調剤事故防止マニュアル

はじめに

~国民に安心で安全な医療を提供するために~

2005年9月 作成

2016年7月 改訂

ファルマ医療安全委員会

1 目的

ファルマ医療安全委員会では、調剤事故防止のためには、薬局内での調剤過誤・事故防止対策を充実させ、具体的な対策を講じることに意義があるととらえ、局内でのインシデント事例を収集・活用して再発防止に向けた取り組みを進めることを目的に本マニュアルを2005年に策定した。その後、定期的な見直しをしていなかったことから、今日の業務の実態を踏まえ、見直しに至った。各薬局で安心安全な医療を提供する一助となれば幸いと考える。


2 職員の責務

全職員は(雇用形態にかかわらず)、調剤過誤・事故防止の必要性、重要性を強く意識して日常業務にあたり、適切かつ安全な医療を提供するための課題として事故防止につとめるものとする。


用語の定義

1 調剤ミス(インシデント)

調剤の過程で何らかの間違いがあったが、患者様への交付前に間違いが発覚・修正され、結果として患者様には正しい薬剤が交付された場合。

2 調剤過誤

患者様の健康被害の有無にかかわらず、薬剤師が調剤の過程で何らかの間違いを起こし、患者様に誤った薬剤を交付した場合(薬袋の用法、薬の説明書、お薬手帳シールの内容に誤りがある場合も含む。)。


3 調剤事故

薬剤師が調剤の過程で何らかの間違いを起こして患者様に誤った薬剤を交付し、結果として患者様に何らかの健康被害が生じた場合。


事故レベル

  • レベル0 薬剤交付前に見つけた
  • レベル1 薬剤交付し、患者様が気付き服用していない。または実害無し
  • レベル2 薬剤交付し、誤った薬を服用。健康被害はなかったが経過観察中
  • レベル3 治療、入院を要した
  • レベル4 後遺症が残るほどの重大な健康被害が出た
  • レベル5 事故が発生して、患者様が死亡した


報告制度

1 調剤ミス(インシデント)

各薬局にてインシデントレポート(ヒヤリハットレポート)などを用いて、統計・分析にあたり、業務の見直しにつなげる。社内の医療安全委員会にも報告する。

2 調剤過誤

各薬局にて、電子薬歴等で調剤過誤報告書を作成し、統計・分析にあたり、対策を検討する。社内の医療安全委員会に定期的な報告をする。

3 調剤事故

調剤過誤で患者様が誤った薬を服用した場合、身体状況を確認のうえ処方医に報告する。過誤同様、社内の医療安全委員会にも報告する。


業務にあたっての心構え

  1. 自己の健康管理に留意すること。
  2. 医薬品の情報収集に努め、日々研鑽を積むこと。
  3. 整理・整頓・清潔を心がけること。
  4. 薬剤師相互及び他部署との連絡事項の周知徹底を図ること。


調剤業務全般に関する基本事項

  1. 業務中は私語を慎み、担当の業務に専念し集中力維持を勤めること。
  2. 一旦やりかけた調剤は、最後まで責任を持って行うこと。
  3. 処方内容に疑わしい点がある場合は、必ず処方医に疑義照会を行うこと。
  4. 調剤業務は冷静沈着且つ迅速に行うこと。


調剤について

    1. 調剤は各薬局の調剤内規に基づいて処方箋に従って適切に行う。
    2. 錠剤等の調剤は、複数回確認する。
    3. 薬品の読み違え、取り違えをしないよう留意する。
    4. 不明確な文字を無理に判読しない。
    5. 散剤は秤量前に計量器が正常かどうか確認後、確認しながら薬剤を秤量する。
    6. 秤量時の薬剤誤認及び秤量間違いの防止に努める。散薬監査システムを使用している場合は、レシートを処方箋・調剤録に貼付する。
    7. 散剤の混合不良、異物混入に注意する。
    8. 分包の際は、秤量した者の指示、薬袋の指示、処方箋の指示等で確認した上で、分包する。また、分包機械が正常に作動しているか確認する。
    9. 分包された薬の包数を確認した後に、薬袋もしくは調剤時使用している当該患者様のカゴに入れる。
    10. 分包の結果、同一処方内で区別がつきにくい薬剤《例えば、白と白の顆粒》の 場合は  分包紙に色つきの線を入れる等の配慮をする。あるいは、分包機の機能で薬品名を印字する。その時は調剤内規、コメント等を参考にする。
    11. 水剤についても、確認しながら適切な器具で計量して調剤する。
    12. 調剤時に、可能なものについては調剤する薬品の有効期限チェックを行う。


監査業務について

  1. 調剤者の経験を問わず、「エラーは誰もが起こす」ということを念頭に置き監査を行う。
  2. 調剤された薬については、基本的には調剤者以外の薬剤師が監査を行う。
  3. 錠剤監査時は、錠剤の規格、用法・用量、外観の酷似したものとの取り違いに注意しながら監査する。
  4. 散剤監査時は分包紙の重量を考慮しながら重量を確認するとともに、分包誤差及び分包数の確認を1包毎について、色、量、数、異物の混入がないかチェックする。
  5. 液剤・外用剤・注射剤についても、液漏れ、破損、変色、異物混入等のチェックを行う。

対処

イ)誤薬を服薬していない場合には、速やかに回収し、調剤をやり直す。また、原因の確認と対策を検討する。
ロ) 服薬していた場合には、患者の身体状況を確認して主治医と相談する。医療機関とのルールに基づいての対応とする。
ハ)服薬して副作用が生じた場合には、主治医に連絡するとともに、副作用に対する処置法等の必要な情報を提供し、必要であれば血中濃度の測定も検討する。


充填作業について

  1. 薬剤の充填(特に散剤あるいは錠剤自動分包機への充填)の際には、元の容器と移し替える容器双方のラベルを2人以上の薬剤師が確認し、誤充填を防止する。
  2. 薬剤の返品に際しては、誤返品や誤充填をしないように注意する。

対処

誤充填が判明した場合には、それにより誤調剤が疑われる処方箋を過去に遡って調査し、交付した薬剤すべてを速やかに回収する。


薬剤の交付について

  1. 薬剤の交付は、原則として「引き換え券」との交換(薬局で引き換え券を配布している場合)と患者様氏名のフルネームを呼んで確認し、それと薬袋記載の氏名とを照合した後に薬剤を交付する。
  2. 薬袋の数を確認し、各薬剤の交付もれに注意すること。
  3. 患者様一人一人に応じた適切な薬剤情報の提供に努め、誤った情報を伝えないよう注意すること
  4. 用法、用量の複雑な薬品については特に丁寧に説明すること。


対処

薬剤の誤交付が起きた場合には、速やかに患者様住所等を調査し、電話で確認後に回収して交換する。


重大な副作用による被害

  1. 窓口における患者様へのわかりやすい服薬説明に努める。特に、重大な障害につながるような副作用が考えられる薬剤については、初期症状を見逃さないようチェック体制を心がける。
  2. 眠気等の日常生活で事故につながるような副作用を伝え、二次的な被害の防止に努める。


医薬品の品質低下

  1. 医薬品の添付文書に規定された貯法に従い、適切な環境下で保管管理する。
  2. 随時、薬剤の有効期限の確認を行う。
  3. 有効期限の短い薬品から取り出せるように整理整頓する。
  4. 患者様への薬剤交付時には、必ず薬袋等に薬剤の保存方法(保冷など)の指示を行い、適切な方法で交付する。


盗難・事故

  1. 特に麻薬や向精神薬・毒薬の盗難や事故がないように、夜間の戸締まり等に注意する。


環境整備の不備

  1. 製剤の調製を行う場所の清潔保持、整理整頓、整備を常に心掛ける。
  2. 製剤の調製を行う者も清潔を心掛ける。


器具機械検査の不備

  1. 使用している製剤機器の作動状況を使用の都度点検し、必要に応じて不備状況を記録する。
  2. 異常がある場合には、業者に連絡するなど適切な処置を行う。


誤った情報伝達

  1. 薬剤に関する問合せに対しては、正確な薬品情報の提供に努め、必要に応じて2人以上の薬剤師で確認し、誤った情報を伝達しないよう注意する。
  2. 文献や書籍による確認を行った後に返答する。
  3. 電話での問合せの時には、必ず相手の所属と氏名を確認し、問合せの内容及び返答の内容を薬歴簿に記録する。




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